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統合失調症

2024年5月23日放送2024年5月30日放送

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2024年5月23日放送

統合失調症は、考えや気持ち、行動をまとめる能力、統合する能力が低下する病気です。統合失調症は約100人に一人がかかる病気で、それほど珍しい病気ではありません。10代から30代で発症することが多いですが、年齢や性別によらず発症します。

統合失調症の原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的な要因と環境的な要因が組み合わさっていると考えられています。
遺伝的な要因ですが、たとえば患者である親から生まれた子供の発症率は、そうでない親から生まれた子供に比べて高くなります。また発症には、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機での緊張などがきっかけとなることが多いです。このように統合失調症は、もともと病気になりやすい遺伝要因がある方に、環境ストレスが重なることで発症すると考えられています。

統合失調症の主な症状には、健康なときにはみられない陽性症状と、健康なときにはできていたことができなくなる陰性症状があります。

陽性症状として主なものは、幻覚と妄想です。
幻覚は実際にはない刺激が感じられる症状で、無い声や音が聞こえる幻聴や、無いものが見える幻視などがありますが、統合失調症では幻聴がみられることが多いです。話しかけられるような声、命令されるような声、本人を批判・否定する内容の声が聞こえます。本人には実際に話しかけられているように感じられるために、幻聴に対して声を出して返答してしまうこともあり、これは周囲からは独り言にみえます。

妄想は、事実ではないことを確信していて、周りが違うと説明しても訂正できない症状です。
たとえば、自分には関係ないことを関係があると思い込む関係妄想や、周囲の人が自分に嫌がらせをしているなどと思い込む被害妄想、見張られていると思い込む注察妄想などがあります。

2024年5月30日放送

次に統合失調症の経過と治療についてお話します。

統合失調症で典型的な症状は幻聴や妄想ですが、このようなはっきりとした症状がみられる前に前兆としての初期症状がみられます。なんとなくみられているような気がしたり、ちょっとした声や音に敏感になって、不安感や緊張感が強くなります。また、眠れなくなったり食欲がなくなったりします。このような時期が過ぎると、いわゆる急性期になります。

急性期にみられる症状は、前にお話した幻聴や妄想が中心です。また幻聴や妄想が激しいと、興奮したり危険な行動をして、入院での治療が必要になることもあります。治療が進むと幻聴や妄想などの陽性症状はみられなくなり、陰性症状が目立つようになります。

陰性症状は健康な時にできていたことができなくなる症状で、感情の起伏が鈍くなったり、思考や会話の内容が乏しくなったり、何もしたくなくなり閉じこもりがちになったりします。また、記憶や注意などの認知機能にも障害がみられることがあります。

統合失調症の治療は、薬物療法と精神科リハビリテーションが中心になります。統合失調症の治療の中心となる薬を抗精神病薬といい、とくに陽性症状の改善や再発の予防に大きな力を発揮します。陰性症状の改善には薬物療法に加えてリハビリテーションが重要です。リハビリテーションの目的は、障害を改善しながら社会的な機能を取り戻し、生活の質を高めていくことです。

このように統合失調症は治療によって症状を改善して社会復帰することができる病気ですが、治療をしないで自然に治ることはありません。また他の病気と同様に、早期発見・早期治療が必要な病気です。統合失調症が疑われる場合には、必ず精神科を受診して医師の診察を受けましょう。

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