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科学的根拠のある予防医療

2025年2月27日放送2025年3月6日放送

2025年2月27日放送

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2025年2月27日放送

日本は世界に冠たる長寿国で、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳です。一方で、健康上の問題がない状態で、自立して生活できる期間を健康寿命と言います。これは、平均寿命と異なり、病気や障害によって日常生活が制限される期間を除いた時間を表します。

日本では、男性の健康寿命は72.57歳、女性の健康寿命は75.45歳とされています。これらの数値から、平均寿命と健康寿命の差は、男性で約8.52年、女性で約11.69年となります。この期間は、健康上の問題で日常生活に制限が生じる可能性があることを示しています。
この健康寿命を延ばすためには、日頃の生活習慣を改善し、病気の予防や早期発見を意識することが大切です。予防医療や適切な生活習慣は、健康で自立した生活をより長く楽しむための重要な鍵となります。病気になったときに的確に診断し最先端の治療を行うことも重要ですが、病気やケガを予防する予防医療が注目されています。

一生のうちに何か病気が起こるとしたら、最初は目には見えないミクロのレベルの変化が生じます。そして、そのミクロレベルの変化が積み重なると症状が現れます。このミクロレベルでの変化が起こらないようにすることを一次予防といいます。一次予防は、例えばインフルエンザや肺炎球菌、帯状疱疹といった感染症感染に対する予防接種、肺がん肺がんなどの呼吸器病を予防するための禁煙、糖尿病などの生活習慣病にならないための食事や運動、あるいは痛風や尿管結石を予防するための尿酸を下げる薬の内服などが挙げられます。

もしミクロレベルでの変化が起こったとしても、症状が出現する前に早期に発見し、何らかの手段を講じることを二次予防と呼びます。現在日本で広く行われている健康診断などがこの二次予防に相当します。そして症状が出て病気として発症し治療を行った後、病気の再発を防ぐことを三次予防と呼んでいます。例えば、心筋梗塞を起こした後にストロングスタチンと呼ばれるコレステロールを下げるお薬を内服するなどが良い例です。

予防医療は噂レベルの根拠に乏しいものでは意味がありませんので、科学的根拠をもった方法で行われなければなりません。

2025年3月6日放送

今回は科学的根拠のある予防医療についてお話をしたいと思います。
脳卒中は日本人の死亡原因の第4位であるとともに、発症すると著しく生活の質を落としてしてしまいます。高血圧は脳卒中の主な危険因子であり、適切な高血圧治療は脳卒中の一次予防に極めて有効であることが多くの研究でわかっています。高血圧は痛くもかゆくもない病気のため、治療に無頓着な方が意外に多いのですが、高血圧の薬は飲み始めるとやめられないのではなく、内服してでも積極的に脳卒中を予防することが大切です。

また、米国心臓協会と米国脳卒中協会は2024年に、適度な身体活動と健康的な食事が脳卒中リスクを減らすとガイドラインを示しました。具体的には早歩きなどの中強度の有酸素運動を少なくとも週に150分、またはランニングなどの高強度の有酸素運動75分行うことが推奨されています。身体活動の時間が短くても、全く運動しないよりはリスク低減するといわれています。

また、食事では果物、野菜、玄米やオート麦などの全粒穀物、ナッツ、オリーブオイルなどを多く含む地中海式食事法が推奨されており、加工食品や糖分の多い飲料の摂取を控えることが推奨されています。その他に、脳卒中の一次予防には血糖コントロール、適正な体重維持、禁煙、十分な睡眠が効果があることが示されています。

また、高齢になると転びやすくなり、背骨や太腿のつけ根を骨折して生活に支障が出ることはご存知かと思います。米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、65歳以上の成人に対する転倒予防策として、バランス、歩行、可動性を強化する運動プログラムを推奨しています。
これらのプログラムには、太極拳やダンスなど週に2~3回、1年間継続することが効果的とされています。

こうした予防医療は、皆さんの生活を十分に理解している身近なかかりつけ医に相談することが大切です。かかりつけ医にどんどん質問して、健康寿命を延ばして生き生きとした毎日を送りましょう。

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