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甲状腺がんについて

2025年12月4日放送2025年12月11日放送

2025年12月4日放送

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2025年12月11日放送

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2025年12月4日放送(放送内容 資料はこちら

甲状腺は、首の前側真ん中あたりののどぼとけのすぐ下にある臓器で、体温を保ったり、心臓の動きを整えたりする、全身の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを作っています。とても小さな臓器ですが、他の臓器と同じように「がん」ができることがあります。
甲状腺がんにはいくつか種類がありますが、日本で多いのは「乳頭がん」や「濾胞がん」というタイプで、これらは比較的進行がゆっくりで、早期に見つかれば完治が望めるものです。

甲状腺がんの治療は主に手術ですが、手術のあとに残った甲状腺組織や全身にちらばってしまったがん細胞をやっつけるために行われるのが、今回お話する「放射性ヨード治療」です。
放射性ヨード治療は、「放射性ヨウ素、アイソトープ」という特殊な薬を使います。普通の風邪薬と同じ大きさのカプセルで、内側に放射線を出すヨウ素が塗られています。病気の進み具合によって、入院して行う場合と、入院せずに外来で行う場合があります。

外来で行う場合は、転移もなく、それほど病気が進んでいない患者さんに行います。手術で取り切れずわずかに残った甲状腺組織を放射線ヨウ素で処理することで将来の再発予防ができます。治療自体はカプセルを1個飲むだけで簡単ですが、治療前や治療のあとにいくつか行ってもらうことがあります。
治療前は放射性ヨウ素の取り込みをよくするためにヨウ素制限食を食べたり、お薬を注射したりする処置が必要になります。
治療後は汗や尿などを通じ、体中から放射線を出す状態となります。このため、小さな子供や妊婦との接触を控える必要があります。また、トイレやお風呂、洗濯などの生活の仕方に注意が必要になります。妊婦やお一人で身の回りのことができない方は放射性ヨード治療をできません。

放射性ヨード治療は体への負担が比較的小さい治療ですが、人によっては軽い副作用が出ることもあります。たとえば、吐き気を催したり、一時的に唾液腺が腫れたり、味覚が変わったりすることがあります。また、女性の場合は、治療後の妊娠に関して注意が必要で、治療から半年〜1年ほど避妊が必要とされます。

医師や看護師とよく相談し、治療に望まれることをおすすめします。

2025年12月11日(放送内容 資料はこちら

今回は入院で行う放射性ヨード治療についてお話します。

目に見えないレベルの微小ながん細胞が残っている可能性の高い患者さんや、リンパ節や肺などに転移している患者さんに行います。治療効果を高めるために、外来で飲む場合よりたくさんの量の放射線を含むカプセルを飲んでもらいます。当院では3700メガベクレルという量を通常投与しています。外来で行う1110メガベクレルと比較し、3倍程度放射線の量が高くなり、数日間は「アイソトープ病室」という特別な部屋で過ごす必要があります。神奈川県内でこのアイソトープ病室がある病院は神奈川県立がんセンターのみです。

カプセルを飲むとがん細胞をやっつけると同時に、体中から放射線を出すようになります。このため、入院中は家族や他の人との接触を制限されます。入院期間は通常2~4日程度ですが、病気の広がりによってはもっと長くなることもあります。
治療後は、尿や汗などを通じて体内の放射性物質が徐々に外に出ていき、外部との接触が問題ない程度まで体から出す放射線が弱くなったら退院できます。ただし、退院後も数日間は、妊婦さんや小さなお子さんとの接触を控えるなどの注意が必要です。

前回もお話ししましたが、放射線ヨード治療は体への負担が比較的小さい治療ですが、人によっては軽い副作用が出ることもあります。たとえば、吐き気を催したり、一時的に唾液腺が腫れたり、味覚が変わったりすることがあります。また、女性の場合は、治療後の妊娠に関して注意が必要で、治療から半年〜1年ほど避妊が必要とされます。

がん治療というと怖いイメージがあるかもしれませんが、この治療は「体に優しく、がん細胞だけを狙う」という特長を持っています。もちろん、治療を受けるかどうかは、がんの進行度や患者さんの体の状態によって医師とよく相談して決めることが大切です。不安なことがあれば、遠慮せず医師や看護師に相談して、納得のいく形で治療を受けられることをおすすめします。

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