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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

骨盤底障害とは?/GSMって何?

2019年12月12日放送2019年12月19日放送

2019年12月12日放送

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2019年12月19日放送

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骨盤底障害とは(放送内容 資料はこちら

骨盤底とは、内臓を支える一番底にある部分です。恥骨から尾骨の間にある菱形のプレートです。
筋肉・靭帯・皮下組織からできていて、女性の場合、前から膀胱・子宮・直腸などの骨盤内の臓器を下から支えています。そしてこの骨盤底を、尿道・腟・肛門が通っています。骨盤底を構成する筋肉が、骨盤底筋群です。
骨盤底は、骨盤内の内臓を支える役目とともに、尿や便を貯めたり・出したりする排泄の機能を担っています。

この骨盤底が、生まれつき弱い人がいます。さらに出産や閉経・加齢で骨盤底は弱っていきます。
これを骨盤底障害といいます。骨盤底障害の代表的な病気は、尿失禁と骨盤臓器脱です。

尿失禁も骨盤臓器脱も、予防や治療で最初に行うことは、骨盤底トレーニングです。
全身をリラックスさせ、肛門と腟・尿道だけをキュと締めて、息を吐きながら胃のほうへ持ち上げ5秒くらい維持します。これを1日20回〜50回くらい行います。
また排尿や排便の時に、お腹に力を入れて出す習慣を改めます。
水分摂取も適量に改めます。適量とは、春・秋は、1日1.5L、夏は2L、冬は1Lです。

尿失禁とは、出したくないときに尿がもれることです。尿失禁には、腹圧性尿失禁と過活動膀胱があります。
腹圧性尿失禁とは、咳・くしゃみ・運動などで尿がもれることです。
過活動膀胱とは、急に突然尿がしたくなり我慢が難しくなり、6割の人は尿がもれてしまいます。

クリニックでは、尿漏れに対しては、まずはお薬を処方しますが、それで症状改善が80%以上でない場合は、腹圧性尿失禁に関しては、尿道の下に人工テープを入れる手術を、過活動膀胱の場合は、背骨に電極を入れて刺激する手術をお勧めすることがあります。

 骨盤臓器脱とは、腟から膀胱や子宮・直腸が外に飛び出してくる病気です。
骨盤臓器脱に関しては、まずはペッサリーという腟内装具を自分で出し入れする方法をご指導します。できない場合は、手術をお勧めする場合もあります。

GSMって何?(放送内容 資料はこちら

閉経関連尿路生殖器症候群は、2014年に北米閉経学会と国際女性性機能学会が、共同で提唱した新疾患概念で、英語の頭文字をとってGSMと呼ばれています。
女性は、閉経前後になると全身の女性ホルモン値が低下します。そのため外陰や腟が萎縮し、不快な身体症状が起こります。

不快な症状は、外陰部乾燥感・灼熱感・掻痒感のような外陰部の皮膚症状や、排尿困難感・頻尿や尿意切迫感・反復性尿路感染症などの排尿の症状、さらに性交渉の機会がある場合は、愛液の減少・性交痛・オーガズム障害・性交後出血といった性機能に関する症状があります。
症状は一つのこともありますが、複数の症状が同時に起こることもあります。

このGSMは、以前は老人性膣炎や萎縮性膣炎とよばれ、老女のとるにたらない悩みとされていましたが、GSMと定義しなおすことで、中高年女性の生活の質を大きく落とす病気と認識されるようになりました。
GSMは慢性かつ進行性の疾患であり、中年以降の女性の約半数が罹患していると報告されています。

前回の尿失禁や骨盤臓器脱を起こす骨盤底障害の原因でも排尿のトラブルが起きますが、骨盤底障害は主に骨盤底筋群の問題で起こり、GSMはその上の粘膜や皮下組織の問題で起こります。GSMが合併すると骨盤底障害の症状が悪化します。

GSMの進行を抑えるためには、日々の外陰部のスキンケアが大切です。入浴後は、全身用の保湿剤でいいので、外陰に塗って乾燥を防ぎます。
また毎日の骨盤底トレーニングも外陰・腟の血流を増加させるために重要です。性交渉の際は、潤滑剤やゼリーを使用します。
しかし、いくらセルフケアを行っても、GSMが進行してしまう場合は、クリニックでの治療が必要です。

クリニックでは、女性ホルモンや男性ホルモンを全身や局所に投与を行います。これでも症状が改善しない場合は、最近は腟や外陰にフラクショナル炭酸ガスレーザーを照射する治療も行います。

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