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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

これって更年期ですか?

2019年7月25日放送2019年8月1日放送

2019年7月25日放送

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2019年8月1日放送

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7月25日放送内容(放送内容 資料はこちら

女性の体は女性ホルモンと共に大きく変動していきます。
小学校高学年になると女性ホルモンの分泌が増加し始め、初潮・思春期を迎えます。成長と共に、女性ホルモンの規則的な変動によって、妊娠・出産可能な性成熟期を迎え、その後、女性ホルモンの分泌は減少していき閉経を迎えます。
この女性ホルモンが減少していく期間を更年期と呼んでおり、日本人女性の平均閉経年齢は約50歳ですので、更年期は大体45歳から55歳頃を指します。

更年期症状は数十種類にも及ぶといわれており、代表的なものとしては、ほてりやのぼせなどのホットフラッシュ・肩こり・動悸・めまい・関節痛・冷え・不眠・イライラなどが上げられます。
その中でも日常生活に支障が出る症状を更年期障害と呼んでいます。

更年期障害の原因は、閉経前後の約5年間、女性ホルモンの急激な低下によるものです。
それに加え、加齢などの身体的因子、性格などの心理的因子、職場や家庭での人間関係などの社会的因子が複合的に関与して発症するといわれております。そのため、症状の出方や時期・強さには個人差があります。

更年期障害の治療の必要性はSMIといわれている簡略更年期指数で自己チェックが可能です。
ただ、気を付けなければいけない点は、自分では更年期症状と思っていても、実は他の重篤な疾患がある場合です。
更年期の症状は多彩なため、他の疾患の症状と似ていることがあり、区別が難しい場合があります。
例えば動悸などは、心臓の疾患の可能性もありますし、ほてりやのぼせなどは、内分泌疾患の可能性もあります。特に強く出る症状がある場合は、専門の科の検索もするようにしてください。

どこに受診した方がいいかわからないときは婦人科へ相談に来てください。

8月1日放送内容(放送内容 資料はこちら

更年期障害は他に原因となり得る重篤な疾患を否定することが重要となります。症状に対して明らかな原因疾患がない場合が産婦人科での更年期障害の治療の対象となります。
治療法は主に3つに分けられます。

まず一つ目は漢方薬です。
漢方薬は様々な生薬の組み合わせで作られており、その種類も数多くあります。
全体的な心と体のバランスの乱れを回復させる働きがあります。
良いところは複数の症状に対して効果があり、患者さんの症状に一番合うものを処方します。漢方は苦手と思われる人も多いですが、その人の症状あった漢方は味がおいしく感じる傾向がありますので、長く飲むことが可能です。

2つめはHRTと呼ばれているホルモン補充療法です。
更年期症状出現の原因が急激な女性ホルモンの変動によるもののため、少量の女性ホルモンを補充して症状改善を目指す治療です。
ホルモン剤にはのみ薬・張り薬・塗り薬などのタイプがあり、投与方法も様々です。どのタイプのホルモン剤をどのように使用していくかは、患者さんのライフスタイルに合わせて相談をしながら決めていきます。
重篤な副作用の報告もあるため、治療開始前に様々な検査を行います。
反対に骨粗鬆症の予防になるという、うれしい副効用もあります。

3つめは向精神薬やサプリメントです。
気分の落ち込みや意欲の低下、イライラ・不眠などの精神症状がメインである時、抗うつ薬や抗不安薬を用います。
エクオール・プラセンタなどのサプリメントなども推奨されております。

どの治療も有害な副作用の発生は否定できないので、婦人科医とよく相談しながらの治療をおすすめします。

最後に更年期はちょうど人生の折り返しに入る最初の期間です。
今までは家族のため、仕事のためと自分のことを後回しにしてきた方々が多いのではないでしょうか?
この時期の不調は「そろそろ自分の体をチェックしてほしい」という体からの合図かもしれません。体からの合図にしっかり目を向け、必要があれば治療して、元気に残りの人生を過ごすための準備をしてください。
産婦人科医はそのお手伝いをさせていただきたいと思います。

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