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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

脊椎圧迫骨折/肘部管症候群

2020年4月30日放送2020年5月7日放送

2020年4月30日放送

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2020年5月7日放送

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脊椎せきつい圧迫骨折(放送内容 資料はこちら

脊椎圧迫骨折は、背骨の中の主に腰椎、胸椎における椎体の骨折で、骨粗鬆症の患者さんによくみられる病気です。
70歳以上に多く、骨粗鬆症性骨折の中では最も頻度が高く、高齢社会を反映してその数も増加してきております。

骨粗鬆症になると、転倒した際にはもちろん、重いものを持った時や、くしゃみなどの軽微なきっかけで圧迫骨折を起こすケースもあります。
症状は、寝返りや立ち上がりの際に背中の痛みを有することが多いですが、無症状で背が縮んだり腰が曲がってから気づく事もあり、「いつのまにか骨折」とも呼ばれています。
1箇所の骨折をきっかけに周りの骨にも負担がかかり、連鎖的に骨折を繰り返すことが多く、「寝たきり」の原因にもなりやすい骨折です。

レントゲンで椎体の潰れをみることで診断がつきますが、初期には潰れが判明しないこともあります。
新しい骨折の場合は経過の中で徐々に潰れが進行することが多いです。そのため、骨の中の出血やむくみを捉えることができるMRI検査を行うことで、まだ潰れの出現してない初期段階で圧迫骨折の診断を行うことができます。

治療は、原則としてまず保存療法を行います。
体にあったコルセットを約2~3か月装着することで、骨折の進行をできる限り防ぎます。また、骨密度を測定し、骨粗鬆症の治療も並行して行います。
痛みが長引く場合は手術を行うこともあり、潰れている骨を風船で膨らまし、セメントを入れる椎体形成術や、骨が癒合せず遅れて麻痺が出現する場合に背骨を金属で固定する手術等を行うこともあります。

圧迫骨折を予防するためには、適度な運動と、食生活や生活環境を整えたうえで骨粗鬆症に対する薬物治療を行い、生活の質を改善することが大切です。

肘部管ちゅうぶかん症候群(放送内容 資料はこちら

肘部管症候群とは、肘の内側にある骨と靱帯に囲まれた肘部管で尺骨神経が圧迫されて起こる病気です。
症状は、尺骨神経の支配領域である薬指、小指のしびれが特徴的です。症状が進行すると手の甲(背側骨間筋)や小指の付け根の筋肉(小指球筋)の萎縮や、握力低下、薬指や小指の変形が出現することもあります。

最も多い原因として、変形性肘関節症による肘の変形があげられ、中高年男性に多く生じます。また、投球動作などのスポーツによる肘の負担に伴う神経刺激や、幼少期の骨折後の肘の外反変形、ガングリオン等の腫瘍性病変による神経圧迫によるものも考えられます。

診断には、肘の内側から薬指、小指へ放散するしびれや感覚障害の有無や、肘の内側を軽く叩き指に放散する症状(Tinelサイン)があるかを確認します。
また原因として肘関節の変形や圧迫する腫瘍性病変が無いかを、レントゲン、エコー等を用いて確認します。さらに神経伝導速度検査を行い肘関節付近での異常を確認することで確定診断となります。
首の動きによる症状の連動がある場合は頸椎由来の疾患も疑います。

しびれの症状が軽い場合には、保存療法を行います。
過度に肘を曲げることや、肘を曲げる動作の持続を避けるなど、日常生活の中で肘関節を使いすぎないように指導します。また、ビタミンB12製剤の内服により症状が軽減することもあります。
一方、運動麻痺や筋萎縮を伴う場合は早期の手術を考えます。手術はオズボーンバンドと呼ばれる筋膜の切離による神経除圧や、神経を移行して経路を短くすることで緊張を緩める手術があります。

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