会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

薬とは/上手に薬を使うために

2021年3月18日放送2021年3月25日放送

2021年3月18日放送

閉じる

2021年3月25日放送

閉じる

薬とは(放送内容 資料はこちら

臨床医学は内科系と外科系に分けられます。
外科は手術をして病気を治しますが、内科は手術以外の方法で病気を治します。薬物療法と非薬物療法、運動療法、食事療法、リハビリテーションなどです。

薬物療法についてお話をしたいと思います。
単に薬というと治療に用いられるという良いイメージと薬物中毒という悪いイメージと2つの側面があると思います。いわゆる薬と毒はどう違うのでしょうか。
実は、薬と毒は同じでその境は効果が大きいか副作用が大きいかの違いしかありません。体に良いことがあれば薬で、よくないことが多ければ毒となります。
薬が効くということは副作用があることを意識しなければなりません。薬を上手に使うためには作用と副作用のことをよく知ることが大切です。それには薬の用法容量を守ることが一番大事です。自分勝手に減らしたり増やしたりすることは厳禁です。
心配なことがあればすぐかかりつけ医、薬剤師に相談してください。

病院や薬局でもらう薬は必ず臨床試験を行っています。臨床試験の前に動物実験を行い、その後臨床試験を行いますが、第Ⅰ相から第Ⅲ相まで分かれており検討が行われます。薬として発売された後も第Ⅳ相といわれる市販後調査が行われ、発売したら終わりというわけではありません。この間にいわゆるエビデンスと呼ばれる本当に薬の有用性について再評価されます。
一方サプリメントでは臨床試験は必要ありませんので、効果はよくわからないことも多く、副作用についても同様です。特定機能食品では大規模ではありませんが臨床試験が行われますが、病院でもらう薬と違い、細かな臨床試験は行われていないことがほとんどです。機能性表示食品は何らかの有益性が確かめられた論文の提出が承認には求められますが、臨床試験とは異なります。

上手に薬を使うために(放送内容 資料はこちら

薬を上手に使うには、薬には副作用について知ることが重要です。副作用を防ぐためにいろいろな工夫がされます。
例えば痛み止めの薬は胃を痛めることが多いので必ず食後に飲んでいただくことや、骨粗鬆症の薬は胸やけを防ぐために起床時空腹で飲みすぐに横にならないなどの注意があります。また頭痛薬をあまり頻回に飲みすぎると頭痛薬により一層頭痛が誘発されてしまうことがあります。
もし一度でもアレルギーを起こしたら、その薬の名前も覚えておき次に薬を処方してもらう時に医師または薬剤師に伝えることも重要です。

次に薬の飲み方ですが、用法容量を守ることが大事です。飲むタイミングは起床時、食前、食後、食直後、就寝前などで内服する回数も1回から4回、時に5回などもありますので注意してください。
基本は少量の水で飲んでください。牛乳やスポーツドリンク、炭酸水、お茶などで飲まないでください。薬によっては効果が弱くなることもあります。
水なしで飲めるように工夫されたOD錠と言われる薬もあります。粉薬や、高齢者、子供のために飲むのを補助するためのゼリーも売られています。

薬の飲み合わせでは、降圧薬とグレープフルーツが有名です。
降圧薬とグレープフルーツが、肝臓で代謝される酵素が一緒なので両方摂取すると代謝しきれなくなり、効果が増大する可能性があります。グレープフルーツの苦みの成分が原因ですので、オレンジやミカンは問題ありませんが、八朔や、夏みかんは注意しなければなりません。

最近は多剤併用が問題となっています。
高齢者は多くの持病のため薬の数が多くなります。薬が多くなると飲み忘れ飲み間違いが多くなります。
高齢者では5種類以上飲むと転倒することが増えるといわれ、6種類以上飲むと副作用の頻度が増えます。特に睡眠薬安定剤の類です。これらの薬を多く飲むと認知症や転倒のリスクが増し、寝たきりの原因となります。

薬の数を増やさない工夫として近年合剤も多く用いられるようになりました。一つの病気に対して複数の薬を使うことも多く、血圧、コレステロール、糖尿病などの生活習慣病に多く用いられています。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る