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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

気になる乳房の病気

2021年10月14日放送2021年10月21日放送

2021年10月14日放送

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2021年10月21日放送

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10月14日放送内容(放送内容 資料はこちら

乳房疾患の主な症状はしこり、分泌物、乳房痛、湿疹やかゆみです。しこりと聞くと乳がんを思い浮かべるかもしれませんが、正常な乳腺組織を触れているだけのことも多いです。乳頭から血液が分泌される場合は、良性の乳管内乳頭腫であることも多いのですが、乳がんの可能性もあるので検査が必要です。
乳腺は発生学的には汗腺から分化したものなので、汗のような分泌液が出てきてもさほど驚くことではありません。薬の副作用で高プロラクチン血症になると母乳が作られて分泌されることもあります。ホルモンに反応して乳腺組織が充血したりむくんだりして痛くなることがありますが、多くが乳腺症で、特に治療は必要ありません。早期の乳がんで痛くなることはほぼありません。乳頭や乳輪が下着と擦れて浸出液が出て痒くなることがあります。

最も気になる乳房の病気は乳がんだと思いますが、最新のデータでは、1年間で約9万4千人の女性が新たに乳がんになりました。婦人科がん全てを合わせた2倍以上の女性が乳がんになっているのが分かります。

10年前は生涯で14人に1人がかかる病気だったのが、今では9人に1人が罹るようになりました。とはいえ、死亡率はそれほど増えていないので、他の臓器のがんに比べて治りやすいと言えます。

国立がん研究センターでさまざまな疫学調査が行われていますが、日本人のデータでは、大豆の摂取で発症リスクが減少する可能性があると評価されています。疫学研究ではエストロゲンが長く作用している状態が、乳がん発生のリスクとなることが明らかになっていますが、大豆に含まれるイソフラボンに抗エストロゲン作用があることが要因と考えられています。
また、アルコールや喫煙を控え、肥満を避けて日常的に運動を増やすことが乳がん予防につながることが分かっています。

10月21日放送内容(放送内容 資料はこちら

乳腺は女性特有のホルモンの影響を大きくうけている組織です。エストロゲンに反応する乳がんの治療では、エストロゲンを作らせないか、作用しないようにする薬を使います。プロゲステロンは排卵後に分泌されますが、月経前症候群の原因となり、その一つの症状として乳房痛やしこりを感じることがあります。下垂体腺腫のなかでプロラクチンを分泌する場合は、母乳が分泌されます。薬の副作用や肝臓機能が低下している場合にも母乳が分泌されることがあります。

最近の超低用量ピルやホルモン補充療法でデュファストンを使用する場合には、発症リスクの増加はないことが分かっています。なお、ホルモン補充療法が乳がんリスクに及ぼす影響は小さく、座ってばかりのライフスタイルや肥満、アルコール摂取と一般的な要因による増加と同等かそれよりも低いと報告されています。

家族、親戚に同じようながんの方があれば、遺伝性腫瘍の可能性があります。遺伝性乳がんの約8割を占める遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなどになりやすいことが知られています。多くの乳がん治療専門病院で遺伝子の変化を保険適応で検査可能になりました。詳しくは遺伝カウンセリングで話を聞くことができます。

横浜市のクーポンを使ったマンモグラフィーによる乳がん検診は40歳から始まりますが、早期に見つけるために、自費になりますが超音波検査も一緒にされることをお勧めします。

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