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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

乳がんから命を守るために

2021年10月28日放送2021年11月4日放送

2021年10月28日放送

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2021年11月4日放送

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10月28日放送内容(放送内容 資料はこちら

近年、我が国では乳がんが大変増加しています。乳がんに罹患する人は年間10万人ほどで、日本人女性のがんで最多です。乳がんの発症は、20歳以降のあらゆる年齢層で認められますが、最も多いのは、40歳から70歳の年齢層であることが特徴で、注意が必要です。

乳がんの発症原因は解明されていませんが、危険因子としては、喫煙、アルコール、肥満、糖尿病、乳がんの家族歴などが知られています。日本は遺伝性乳がんの比率は10%以下と低く、後天的な要因がより強く発症に関与していると考えられます。

乳がんの進行は比較的ゆるやかであり、大きさが2cm以下の早期に見つかれば、90%以上の確立で治癒が望めます。しかし、発見が遅れ、リンパ節に転移を認めるような進行がんでは、再発リスクが高く、不幸にも亡くなられる方もいます。

乳がんを早期に発見し、乳がんから命を守るためには、定期的な検診受診が極めて重要です。
早期がんをセルフチェックで見つけることは難しく、専門医による診察とマンモグラフィ検査が必要です。超音波検査を併用することで、より正確に乳がんを発見することが可能です。
特に、30代、40代の若い方は、乳腺組織の濃度が高く、高濃度乳腺と呼ばれる状態のため、マンモグラフィで病変が隠れてしまうことがあります。乳腺濃度は個人差が大きいため、自分の乳腺がどのような状況であるのか、一度専門医に受診して確認しておくことが大切だと思います。

11月4日放送内容(放送内容 資料はこちら

乳がんから命を守るために、知っておくべき5つの項目を挙げました。

先ず、「自分はがんにかからないだろう」という考えは、間違いであるということです。
診療現場では、実際に乳がんと診断された患者様から、「自分だけはがんにならないと思っていた」という言葉を聞くことがあります。このため、検診の間隔が何年も空いてしまい、発見されたときは、既に進行がんであったという方が少なくありません。がんを100%予防する方法はなく、また誰でもがんにかかる可能性があるということを忘れないで欲しいと思います。

このため、がんにかかることを想定した行動をとることも重要です。検診受診を欠かさないことやがん保険への加入などがこれに当たるかと思います。

次に、初期の乳がんは、痛みなどの自覚症状がないということです。乳がんは、痛みの無い、硬いしこりとして発見されます。硬さの程度は、“梅干しの種”に似ています。自分の乳房の中に、“梅干しの種”が埋め込まれた状況を想像して頂けるとイメージが湧くかもしれません。

しかし、乳腺には元々硬さがあり、また乳がんに似た乳腺症といった良性疾患も多く存在するため、触診だけのセルフチェックで診断を行うことは困難です。

画像診断はこの10年間で格段に進歩しています。技術革新により、マンモグラフィの被爆線量は大幅に低減され、年に1回程度の撮影では被爆の心配はありません。年齢や乳腺の状況に応じて、超音波検査も併用した検査を定期的に行って下さい。
30歳を越えた方は、年一回の検査受診を継続することが大切です。2年以上空かないように注意して下さい。まだ一度も検診を受けていない方は、是非一度、専門機関での受診をおすすめします。

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