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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

耳鼻咽喉科と手術/頭頸部腫瘍

2022年2月17日放送2022年2月24日放送

2022年2月17日放送

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2022年2月24日放送

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耳鼻咽喉科と手術(放送内容 資料はこちら

看護学生の講義で、耳鼻科のイメージを聞いたことがあります。耳垢の掃除や中耳炎に対するお薬、鼻やのどの処置などが挙がりました。しかし、手術に関しての話はほとんどありませんでした。

また以前、診察でこんなことがありました。首に出来たしこりについて、患者さんに手術が必要です、とお伝えしたら、じゃあ次は外科に行くことになるんですね、とおっしゃったのです。いえいえ、耳鼻科で手術します、と答えるとその患者さんは耳鼻科では手術をしないと考えていたため驚いてらっしゃいました。
我々が扱う領域は、脳の下の部分から鎖骨までの間で、眼球を除いた部分を扱います。耳、鼻、口、のど、頸部です。対象になるのは老若男女すべて、そしてお薬による治療も、手術による治療も両方やります。
耳鼻咽喉科だけで完結する病気が多いのです。

最近、耳鼻科の一番大きな学会が名前を変更しました。耳鼻咽喉科学会から、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会になりました。
耳鼻科領域にできた腫瘍のことを頭頸部腫瘍と言うのですが、これに対する手術のことを当初頭頸部外科と言っていました。近年では、腫瘍の手術に限らず耳鼻科で行う手術全般のことを頭頸部外科と言うようになりました。耳鼻科でも手術していますよ、ということを知ってもらうための変更です。

手術で治す病気としては、先ほどお話しした頭頸部腫瘍が代表的です。これは次回お話しします。
それ以外では、中耳炎に対して鼓膜を切開したり、換気チューブを留置したりします。また蓄膿症でお薬の治療をしても治り切らない場合、溜まった膿が鼻の方に流れてくるようにする手術をします。声帯ポリープで声がかすれたときや、上手くものが飲み込めない嚥下障害でも耳鼻科で手術することがあります。
耳鼻科で手術をすると言われても、びっくりしないようにしてください。

頭頸部腫瘍(放送内容 資料はこちら

耳鼻科が扱う領域は、脳の下の部分から鎖骨までの間で、眼球を除いた部分を扱います。耳、鼻、口、のど、首です。対象になる患者さんは老若男女すべて、そしてお薬による治療も、手術による治療も両方やります。
耳鼻科で行う手術、つまり外科的な治療のことを、頭頸部外科と言います。

人間の身体はどこにでも腫瘍ができることがあります。耳鼻科領域における腫瘍のことを頭頸部腫瘍と言います。
腫瘍には良性と悪性があります。耳鼻科で扱う悪性腫瘍で有名なのは、舌がんや喉頭がん、咽頭がんなどでしょう。

頭頸部腫瘍の治療として、手術で取り切れる大きさの場合、手術が最も治る確率の高い治療です。ただ、耳鼻科領域には耳の聴覚、平衡覚、鼻の嗅覚、口やのどの咀嚼、嚥下、気道、呼吸など重要な機能を担う臓器が含まれます。
良性腫瘍は腫瘍だけ取れば治療は終わりますが、悪性腫瘍の場合、安全域をつけて大きく切除しなければなりません。そのため、手術で大きく取ってしまうと、機能も同時に失うことになってしまいます。
例えば舌がんでは、しゃべったり飲み込んだりすることが不自由になります。喉頭がんでは声が出なくなります。そのため、重要な機能を温存しながら、腫瘍も治さなければなりません。

耳鼻科では、頭頸部の悪性腫瘍に対して手術、放射線、抗がん剤を組み合わせた集学的治療が行われています。機能を温存しながら治療効果を上げる工夫です。
とくに進行がんの場合、手術で取り切れてもその後一定の確率でがんが再発したり、遠隔転移したりすることがあります。術前や術後に放射線や抗がん剤を組み合わせることで、再発や遠隔転移の危険性を低くすることができます。
腫瘍の状態だけでなく、合併症を含めた患者さんの状態に合わせた、オーダーメイドの治療が必要になりますので、主治医をはじめとする医療側との相談が重要です。

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