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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

本当は怖い脂肪肝

2022年4月28日放送2022年5月5日放送

2022年4月28日放送

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2022年5月5日放送

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2022年4月28日放送(放送内容 資料はこちら

脂肪肝とは肝臓の細胞の中に中性脂肪が多くたまった状態です。
最近脂肪肝の人の数が急激に増加しています。健康診断を受けた人の2割から3割に脂肪肝があると言われています。

アルコールを多く飲む人に多いですが、アルコールをほとんど飲まない人にも増えてきています。
男性では働き盛りの年齢層と高齢者に多く、女性では高齢になるにつれ多くなります。肥満のある人に多く見られますが、肥満のない人でも安心できません。また日本人は脂肪肝を発症しやすい遺伝子を多く持っていることもわかってきました。

脂肪肝は以前あまり怖くない病気と考えられていましたが、その中に持続する炎症を伴って線維化が進み肝硬変や肝がんになる怖い脂肪肝が少なくないことが知られています。
肝臓は地味な存在ですが、人体の代謝の中心で、脳や心臓と同じように機能が損なわれると死に至る重要な臓器です。ただ病気が最終段階まで進行するまで目立った自覚症状がないため、多くの肝臓病が見逃されていることが多いのが残念です。

さて話をアルコールをあまり飲まない人の脂肪肝に戻しますが、普通の脂肪肝と怖い脂肪肝をどうやって見分けるのでしょうか?
通常の検査では決定的に見分ける方法はなく、肝臓に針を刺して組織をとってきて調べる方法が有力です。ただ最初にお話ししたように脂肪肝の人の数はとても多いので、脂肪肝の人みんなにこの検査を行うことは現実的ではありません。
またこの方法で怖い脂肪肝でなかったとしても、その後怖い脂肪肝に変化していくことも十分考えられますので、脂肪肝と診断された人はすでに怖い脂肪肝であるか、または今後怖い脂肪肝になっていくかのリスクを背負っていると考えるのがよいでしょう。

2022年5月5日放送(放送内容 資料はこちら

脂肪肝が本当は怖いという話を前回お話ししました。ではどうしたら脂肪肝を治すことができるのでしょうか。
C型肝炎はとても良く効く飲み薬ができてほぼ100%治るようになりましたが、残念ながら脂肪肝の特効薬はまだ存在していません。

アルコールによる脂肪肝はアルコールをやめなければ治りません。アルコールをあまり飲まない人の脂肪肝は、前回で触れたように肥満の人に多く見られることから、肥満の解消がポイントになります。

まずは3%の体重減少を目指しましょう。皮下脂肪や内臓脂肪よりも肝臓の脂肪の方が先に消費されるので、それだけで肝臓の状態はかなり改善します。それが達成出来たら次は7%の減量を目指しましょう。
ただし急激過ぎる減量はかえって肝臓の状態を悪くしますので、減量のスピードは一か月で2kgを超えないよう、気長にたゆまなく取り組むことが大事です。

やせを謳う高額なサプリメントはまず効果がありませんので、惑わされないようにしましょう。アルコールや糖質や脂肪の摂取を控え、野菜や良質のたんぱく質の摂取を心がけましょう。
過度なダイエットは逆効果で脂肪肝の原因となることもありますので、適正なカロリー摂取をするようにしてください。また同時に有酸素運動や筋肉トレーニングも並行して行い、筋肉の量と質を維持することも大切です。

最近の研究でアルコールも飲まず肥満もない脂肪肝の人では、全身の筋肉量が低下し、筋肉の質も低下し脂肪筋すなわち霜降り肉となっていることがわかってきました。
筋肉は第2の肝臓ともいわれ、血中の糖をグリコーゲンとして蓄える重要な役割を担っています。肥満のない脂肪肝では筋肉の量と質を高めることが重要と考えられます。
今後、脂肪肝に効果的な新薬が開発されることを期待しますが、食事と運動の重要性は少しも変わることはないと思っています。

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