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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

帯状疱疹

2023年1月5日放送2023年1月12日放送

2023年1月5日放送

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2023年1月12日放送

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2023年1月5日放送(放送内容 資料はこちら

帯状疱疹は、水痘(いわゆる「水ぼうそう」)の原因である水痘・帯状疱疹ウイルスによって発症します。多くの場合、子供の頃に水痘にかかった後、このウイルスが私たちの体の中で脊髄や脳神経のうち特に三叉神経に潜んでじっとしています。これを「潜伏感染」といいます。
そして、体の免疫力が低下したとき、脊髄、あるいは三叉神経に潜んでいたウイルスが暴れだします。これを「ウイルスの再活性化」といいます。

再活性化したウイルスは、脊髄や脳神経から左右いずれかの痛みなど感覚を伝える知覚神経に沿って進展します。
脊髄であれば、脊髄後根に潜んでいたウイルスが再活性化して、脊髄神経の後側から末梢神経に沿ってウイルスが進展して皮膚に到達します(資料 1ページ)。このとき、皮膚や抹消神経が障害されるため、体の片側で帯状に水疱(水ぶくれ)などの皮膚症状や神経痛が生じます(資料 2ページ)。

これまでの調査で、50歳以上の方、がん、糖尿病、関節リウマチなど免疫が低下する病気がある方、ステロイド、免疫抑制剤や抗がん剤など免疫を低下させる薬剤を服用中の方に帯状疱疹が発症し易いことがわかっています(資料 3ページ)。

以前は、帯状疱疹に一度かかれば二度かかることはないといわれていました。
しかし、最近では帯状疱疹に一度かかっても二度、三度と再発する可能性のあることが知られるようになってきました。一生のうちに再発する頻度は、100人のうち数人くらいといわれており高いものではありません。

帯状疱疹にかかってから10年くらい経つと帯状疱疹に対する免疫が低下して水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が起こりやすくなっていると考えられています。とりわけ先に述べたような免疫が下がった状態の方は、健康な方と比べて帯状疱疹が再発する危険が高いとされ注意が必要です。

2023年1月12日放送(放送内容 資料はこちら

痛みがある部位に皮膚症状がみられたら帯状疱疹の可能性がありますので、できるだけ早く皮膚科など医療機関を受診するようにしてください。
受診した医療機関で帯状疱疹と診断されると抗ウイルス薬で治療されます。現在、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナビルの3種類の薬剤の内服による治療が可能です。
腎臓の機能などが考慮されて、薬剤の種類、内服する用量が決められます。

高熱がみられる場合など重症な場合は、入院して抗ウイルス薬の点滴による治療が必要な場合があります(資料 1ページ)。これらの抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑えることで効果を発揮するため、できるだけ早く、なるべく発症してから3日以内に皮膚科など医療機関を受診するようにしてください。

皮膚症状は、発症してから2週間ほどで治まりますが、神経痛の症状が残ってしまうことがあります。
神経痛に対しては、まず、カロナールなどの消炎鎮痛薬による治療が行われます。それでも痛みが治まらない場合、トラマドールなど弱いオピオイド作用(麻薬に近い作用)のある薬剤や末梢神経が障害されたことで生じる痛みに効果のあるプレガバリンやミロガバリンなどの薬剤が投与されるます(資料 2ページ)。

最近は、帯状疱疹の発症を予防するため、水痘・帯状疱疹ウイルスに対するワクチンの接種が可能になりました。現在、ウイルスの病原性を弱めたウイルスを用いる乾燥弱毒生水痘ワクチンとウイルス表面のタンパク質を用いた組み換えサブユニットワクチンの2種類のワクチンがあります(資料 3ページ)。50歳以上の方が対象です。

水疱瘡になったことがない方は、打つ必要がないと思われますが、お子さんの時に水疱瘡にかかった方、あるいは帯状疱疹を発症しても10年以上経った方は、もう一度帯状疱疹を発症するリスクがありますのでワクチンを打った方が良いと考えられます。
ワクチンを接種しても、残念ながら帯状疱疹を発症してしまう方もおります。ただ、発症したとしても神経痛などの合併症がひどくならずに済むということがありますので、ぜひワクチンを打っていただきたいと考えております。

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