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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

眼のアレルギー

2022年2月2日放送2022年2月9日放送

2023年2月2日放送

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2023年2月9日放送

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2023年2月2日放送(放送内容 資料はこちら

アレルギーとはどういうことでしょう?
人の体内に入ってくる異物を排除しようとする働きを免疫といいます。本来は異物とは感じないはずのものに対して異物と認識して過剰に免疫反応が働いてしまうことがアレルギーです。アレルギーを起こす原因物質のことをアレルゲンといい、その代表が花粉やダニです。

アレルギー性結膜疾患とはアレルギー反応を主体とした結膜の炎症であり、かゆみ、充血、異物感などの症状を伴うものです。ちなみに結膜は白目から瞼の裏までを覆っている膜のことです。

1993年と2017年に統計があり、比べてみると、人口当たりの有病率は1993年では15~20%くらいだったのが、2017年では48.7%にまで増加していました。また、年齢分布では1993年では10歳代がピークだったのが、2017年では40歳代が最も多く、10歳代にも小さなピークがあるという結果でした。

アレルギー性結膜疾患は4つに分類されています。アレルギー性結膜炎、アトピー角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎です。この中で最も身近であるアレルギー性結膜炎について主にお話していきたいと思います。

アレルギー性結膜炎はさらに季節性、通年性に分類されています。
季節性は毎年決まった季節にかゆみ、異物感、充血、流涙といった症状を起こします。アレルゲンは主に花粉で、いわゆる花粉症です。鼻炎症状を65~70%に合併します。
通年性はほぼ1年通して、かゆみなどの症状がありますが軽い場合も多いようです。
アレルゲンはダニやハウスダストが多いです。アレルゲンを特定するには血液をとって各アレルゲンに対して反応するか検査することが一般的です。

アレルゲンとして花粉やダニがよく知られていますが、スギ、ヒノキは樹木のため花粉の飛距離が数キロに及びます。スギは2月から4月、ヒノキは3月から5月がピークです。イネ科のカモガヤは5月から9月、キク科のブタクサは8月から10月がピークですが、どちらも丈の低い草木なので花粉の飛距離は10mくらいと限られています。
ハウスダストにはダニ、チリ、ホコリ、カビなどが含まれていますが、ダニが代表で梅雨や夏に増殖したダニの死骸やフンの量は秋がピークになります。

2023年2月9日放送(放送内容 資料はこちら

アレルギー性結膜炎の予防や治療についてお話していきます。

まず花粉対策ですが、花粉を目や鼻の粘膜に届かないようにすることに尽きると思います。
花粉を室内に持ち込まないようにするために、花粉情報を活用して外出の時間帯を工夫する、外出時にはマスク、眼鏡やゴーグルで目や鼻を保護する、コンタクトレンズに花粉がつくと表面についてしまうことが多いのでなるべく装用を中止する、外出時には一番外側の衣類はなるべく滑りの良い生地でできたものを着用すると花粉が落ちやすい、手洗い、うがいなど行う、目の表面についた花粉をあらい流すのは人工涙液点眼で行う、花粉飛散が多い日には窓を閉めて洗濯物は外に干さないなどです。

ダニ対策は室温、湿度のコントロールが大切ですが、なかなか理想通りにはいかないと思います。大切なのはダニの増殖を防ぎ、死骸などを除去することです。寝具に掃除機をしっかりかけることが大切です。天日干ししてもたたいたりするとダニの死骸などが拡散してしまうので逆効果です。

次に治療です。治療の目的はかゆみや異物感といった症状の緩和です。かゆみがあるとどうしてもこすってしまい、そのため指やつめで目や瞼を傷つけてしまったり、指についていたウイルスや細菌で感染をおこしてしまったりといった2次的問題がおきてくることがあります。こすらなくて済む程度にかゆみを抑えることが大切です。

アレルギー性結膜炎の治療薬の基本は抗アレルギー薬の点眼です。症状が出る前から点眼を始めることでアレルギー反応を軽くする作用があります。眼科的には点眼主体の治療になりますが、鼻炎を合併しているときには抗アレルギー薬の内服を併用します。

かゆみなどの症状が強く、抗アレルギー薬点眼だけでは対処できないときには非ステロイド性抗炎症薬の点眼や、ステロイド点眼を追加します。
ステロイド点眼はかゆみなどの症状を抑える効果は高いのですが、漫然と使っていると、ステロイドは眼圧を上昇させる副作用をおこすことがあり、緑内障にいたることがあります。特に小児では眼圧上昇をきたしやすいので眼科医のもとで使用していくことが大切です。

最後にアレルギー性結膜炎と紛らわしいことがある疾患を少し提示しておきます。何よりも感染症、特にウイルス性結膜炎に注意することが大切です。また、ドライアイを合併することも多いです。

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