ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
2024年2月29日放送(放送内容 資料はこちら)
今回、主にお話しさせていただきたいのは、「アレルギーに関する二つの仮説」です。この二つの仮説は、アレルギーを理解するのにとても重要です。
一つ目は、「食物アレルギーがどのように発症するのか」、二つ目は、「年齢を重ねるとアレルギー疾患が合併していくかもしれない」という仮説です。次回には、注目されている新しいアレルギーについても紹介させていただきたいと思います。
まず、「アレルギー反応」について、簡単に説明します。
アレルギー反応は、もともと体に備わっている、感染を起こす微生物や異物から身を守るための免疫」システムが、環境やライフサイクルの変化により異常を起こし、発疹、くしゃみ、呼吸困難などの症状を起こしてしまうこと」です。つまり、「せっかく体が備えていた防御システムが、故障か変化してしまったために、体に異常を起こす病気になった」ということです。
そうしたアレルギーについて、知っておきたい仮説の一つ目が「二重暴露仮説」です。「食物アレルギーがどうして生まれるのか?」についての、現在、最も信用される仮説です。
「同じ食材であっても、「皮膚から入ってきたものはアレルギーの原因になりやすく、口から入ってきたものはアレルギーを減らす可能性がある」というものです。
二つの異なる経路から体に入ると、真逆の結果を起こす可能性があるというものです。
ですから、「皮膚を綺麗にして、少量ずつでも食べる」ということが、「アレルギーを減らすのではないか」と言われ、多くの研究で証明されつつあります。
2024年3月7日放送(放送内容 資料はこちら)
二回目の今回は、「アレルギーマーチ」について紹介させて頂きます。
アレルギーマーチという仮説は、日本人の「馬場實先生」が提唱しました。「アレルギーを起こしやすい体質の人が、年齢が上がるにしたがって、発症する症状を変化させながら、アレルギーの原因も変化していきながら、アレルギー症状が合併していくという現象を、一連の流れととらえて、『行進』にたとえ、マーチ、と表現したもの」です。
典型的な例としては、乳児期に湿疹、幼児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、学童期に気管支喘息やアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、成人になると成人喘息になってしまうなどの流れがあります。しかし、この流れの証明は、研究段階でもあります。
出生後の皮膚のケアが、成人でも続くアレルギーマーチを予防する可能性があるのです。
そして、最後は、最近注目されているアレルギーについてです。
マダニに刺されると牛肉アレルギーに、クラゲに刺されると納豆アレルギーに、猫アレルギーになると豚肉アレルギーにもなる可能性が、そして、鳥アレルギーになると鳥の卵や鶏肉アレルギーになる可能性も指摘され始めています。
それぞれ「交差反応」によると考えられ、マダニの唾液、クラゲのとげ、猫や鳥の皮膚やフンなどのたんぱく質に触れることで、それらに似た、牛肉、納豆、豚肉や鶏卵や鶏肉などのアレルギーになるかもしれないということです。
まとめとして、アレルギーが分かりにくいことから、不安になったり、気づけなかったりすると思います。我々医療者もアレルギーやその予防について周知に努め、みんなでアレルギーを予防する可能性のある皮膚ケアを進めると良いのではないでしょうか。